やまむら歯科医院
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インプラント治療における仮歯の重要性とは?

インプラント治療における仮歯の重要性とは?期間・役割・注意点を徹底解説

こんにちは。杉並区やまむら歯科医院です。

インプラント治療を検討されている患者様から、「インプラント手術後、すぐに歯は入るのですか?」「治療中は歯がない状態で過ごすのですか?」というご質問をいただくことがよくあります。

結論から申し上げますと、インプラント治療では手術後すぐに最終的な人工歯(上部構造)を装着することはできません。その代わりに「仮歯」を装着して、インプラント体が顎の骨としっかり結合するまでの期間を過ごしていただきます。

この仮歯は、単なる「見た目を整えるための一時的な歯」ではありません。インプラント治療を成功に導くために、非常に重要な役割を担っているのです。

今回は、インプラント治療における仮歯について、その役割や装着期間、日常生活での注意点まで詳しく解説いたします。

インプラント治療の仮歯とは

インプラント治療で使用する仮歯とは、インプラント手術後から最終的な人工歯を装着するまでの間、歯の機能を一時的に補うためのものです。

インプラント手術では、歯根の代わりとなるチタン製のインプラント体を顎の骨に埋入します。このインプラント体が顎の骨や周辺組織としっかり結合(オッセオインテグレーション)するまでには、通常3〜6ヶ月程度の期間が必要です。

この結合期間中、歯がない状態のまま放置してしまうと、見た目の問題だけでなく、噛み合わせや発音、さらにはお口全体の健康にもさまざまな悪影響が生じてしまいます。そこで、最終的な人工歯を装着するまでの間、仮歯を入れて生活していただくのです。

仮歯は主に「レジン」と呼ばれる歯科用プラスチックで作られています。周囲の天然歯に近い白い色合いで、見た目は自然に仕上がりますが、セラミックや金属で作られる最終的な人工歯と比較すると強度は劣ります。そのため、仮歯を装着している期間は、いくつかの注意点を守って生活していただく必要があります。

仮歯を装着する期間はどのくらい?

仮歯を装着する期間は、患者様のお口の状態や選択した治療法によって異なりますが、一般的には2〜6ヶ月程度です。

具体的には、以下の要因によって期間が変わってきます。

インプラント体を埋入する部位によっても期間は異なります。上顎は骨が比較的柔らかいため結合に時間がかかり、約6ヶ月程度かかることが多いです。一方、下顎は骨が硬いため、約3ヶ月程度で結合することが多いとされています。

また、埋入時の骨量や骨密度、インプラント体の本数、初期固定の強さなども、仮歯期間に影響を与える要因となります。

顎の骨の状態が良好で、インプラント体がしっかり固定できている場合は、手術当日に仮歯を装着できる「即時荷重インプラント」という方法もあります。この方法では、治療の回数が減り、身体への負担も軽減されるというメリットがあります。

仮歯の期間については、患者様お一人おひとりの状態によって異なりますので、詳しくは担当医にご確認ください。

インプラント治療で仮歯が果たす5つの重要な役割

仮歯は「仮」という名前がついていますが、インプラント治療において非常に重要な役割を果たしています。ここでは、仮歯の5つの重要な役割についてご説明いたします。

1. 審美性の維持

仮歯を装着することで、インプラント治療中も自然な見た目を維持することができます。

特に前歯のインプラント治療の場合、歯がない状態では審美性が大きく損なわれてしまいます。人前で笑顔になることや会話することに抵抗を感じ、社会生活にも支障をきたす可能性があります。

仮歯は隣接する天然歯に近い色合いと形状で作られるため、治療中であることがほとんどわかりません。これにより、日常生活での心理的な負担が大幅に軽減されます。

2. 発音機能の維持

歯は食事や咀嚼だけでなく、発音にも重要な役割を果たしています。

歯がない状態では、会話中にその隙間から空気が漏れて正しく発音ができなかったり、舌の動きが制限されて滑舌が悪くなったりすることがあります。特にサ行やタ行の発音に影響が出やすいとされています。

仮歯を装着することで空気の漏れを防ぎ、明瞭な発音を維持することができます。

3. 噛み合わせと歯並びの維持

歯がない部分をそのままにしておくと、周囲の歯がその隙間を埋めようと動き始めます。歯は約1ヶ月で1mm程度動くとも言われており、インプラント治療に半年かかる場合、単純計算で6mm程度も歯の位置が移動してしまう可能性があります。

周囲の歯が動いてしまうと、噛み合わせが悪くなるだけでなく、せっかく作った人工歯が合わなくなってしまうこともあります。さらに、噛み合わせの乱れは頭痛や肩こり、顎関節症の原因にもなりかねません。

仮歯を装着することで、歯の位置や噛み合わせを維持し、これらのトラブルを予防することができます。

4. 患部の保護と細菌感染の予防

口の中には約1000億〜6000億もの常在菌が生息しているとされており、この中には虫歯や歯周病の原因となる細菌も含まれています。

インプラント手術後の傷口は、これらの細菌や外部からの刺激にさらされやすい状態にあります。インプラント体が安定する前に細菌感染を起こしてしまうと、炎症を引き起こし、インプラント体と顎の骨の結合を阻害してしまう可能性があります。

仮歯は患部を覆う「蓋」の役割を果たし、細菌の侵入を防ぎます。また、食事や歯磨きなどによる直接的な刺激、飲食物による温冷刺激からも患部を保護してくれます。

5. 歯茎や顎の骨の状態を安定させる

長期間入れ歯を使用していた方や、歯が抜けたまま放置していた方は、歯茎や顎の骨が変形していることがあります。

仮歯を装着することで、歯茎や顎の骨に適切な圧力がかかり、変形を防ぐと同時に、周囲の組織と調和した状態を保つことができます。これにより、最終的な人工歯を装着した際の違和感を軽減し、より自然な仕上がりを実現できるのです。

また、仮歯の期間中に歯茎のラインや噛み合わせとの適合を確認し、最終的な人工歯の精度を高めるための参考にすることもできます。

仮歯を装着するタイミング

仮歯を装着するタイミングは、患者様のお口の状態や治療部位によって異なります。

手術当日に装着する場合(即時荷重インプラント)

顎の骨の状態が良好で、骨の再生や造成が不要であり、噛み合わせに問題がないなど、特定の条件を満たす場合は、手術当日に仮歯を装着することができます。

この方法は「即時荷重インプラント」や「即時仮歯」と呼ばれ、治療過程が削減されるため身体への負担が軽くなるメリットがあります。ただし、すべての患者様に適用できるわけではありませんので、事前に担当医とよく相談する必要があります。

抜糸後に装着する場合

一般的な方法として、インプラント手術後1週間〜10日程度で行われる抜糸の後に仮歯を装着します。

傷口が治癒して患部の状態が安定したことを確認してから仮歯を装着するため、より安全性が高い方法といえます。前歯の場合は見た目に影響が出やすいため、比較的早めに仮歯を装着することが多いです。

仮歯を装着しないケースもあります

インプラント治療において、仮歯は必ずしもすべてのケースで装着するわけではありません。以下のような場合には、仮歯を入れずに治療を進めることがあります。

奥歯(臼歯部)のインプラント

奥歯は前歯と比べて目立ちにくい部位です。そのため、審美性の問題が少なく、患者様のご希望によっては仮歯を装着しないこともあります。

奥歯に仮歯を入れない場合でも、反対側の歯で噛むことで日常生活に大きな支障が出ないケースも多いです。ただし、歯がない期間が長くなると周囲の歯が動いてしまう可能性もありますので、担当医とよく相談して決めることが大切です。

骨造成手術を行った場合

顎の骨の量が不足している場合、インプラント埋入と同時に骨造成手術(骨を増やす手術)を行うことがあります。

骨造成を行った部位は特にデリケートな状態にあるため、患部への負担を最小限に抑えることが重要です。そのため、骨がしっかり安定するまで仮歯を入れずに経過を見ることがあります。

2回法手術で治癒期間を優先する場合

インプラント手術には「1回法」と「2回法」があります。2回法では、インプラント体を埋入した後に歯茎を完全に閉じ、数ヶ月間の治癒期間を設けてから2回目の手術で歯茎を開き、アバットメント(土台)を装着します。

2回法を選択した場合、治癒期間中はインプラント体が歯茎の下に完全に埋まっている状態のため、仮歯を装着しないことがあります。

患部の状態により安静が必要な場合

インプラント体と顎の骨の結合(オッセオインテグレーション)を確実に成功させるためには、患部を安静に保つことが重要です。

骨密度が低い場合や、初期固定が十分でない場合などは、仮歯による負荷をかけないほうが良いと判断されることがあります。このような場合は、インプラント体がしっかり安定してから仮歯を装着します。

仮歯を入れない場合の対応

仮歯を装着しない場合でも、見た目や機能面での不便を軽減するために、以下のような対応を行うことがあります。

もともと使用していた入れ歯がある場合は、調整を行った上で一時的に使用していただくことがあります。また、隣の歯に接着する形式の簡易的な仮歯や、取り外し式の仮歯を作製することもあります。

どのような対応が最適かは、患者様のお口の状態や治療計画によって異なります。仮歯の有無や種類については、事前に担当医とよく相談し、ご自身の生活スタイルやご希望に合った方法を選択することが大切です。

仮歯期間中の注意点

仮歯はあくまでも一時的なものであり、最終的な人工歯ほどの強度はありません。仮歯期間中は以下の点に注意して生活してください。

食事に関する注意点

仮歯はレジン(歯科用プラスチック)で作られており、天然歯の半分程度の強度しかありません。硬いものを噛むと割れたり欠けたりする恐れがありますので、以下のような食べ物は避けるようにしてください。

硬い食べ物としては、煎餅、乾パン、硬めのパン、スルメイカ、ナッツ類などがあります。

また、仮歯に使用される接着剤は、最終的な人工歯と比べて接着力の弱いものを使用しています。これは、治療の進行に合わせて調整や着脱ができるようにするためです。そのため、粘着性の強い食べ物を食べると仮歯が外れてしまう可能性があります。

粘着性の強い食べ物としては、ガム、キャラメル、グミ、ヌガー、お餅などがあります。

特にインプラント手術直後は、スープやヨーグルト、おかゆなどの柔らかい食品を選ぶことをおすすめします。

歯磨きに関する注意点

仮歯の周りに汚れや細菌が溜まると、周辺組織に炎症が起きる可能性があります。毎日の歯磨きで口内を清潔に保つことが大切です。

ただし、力を入れすぎると仮歯が外れたり、歯茎を傷つけたりすることがありますので、優しく丁寧にブラッシングしてください。特に仮歯と歯茎の隙間は磨き残しが出やすい箇所ですので、意識してしっかりと汚れを除去しましょう。

フロスや歯間ブラシを使用する際も、無理に力を入れず、優しくケアしてください。

トラブルが起きた場合の対処

仮歯が外れたり、欠けたり、割れたりした場合は、そのまま放置せず、できるだけ早くかかりつけの歯科医院を受診してください。

仮歯がないまま放置しておくと、周囲の歯が動いてしまい、噛み合わせが変わってしまう可能性があります。また、患部が細菌感染を起こすリスクも高まります。

外れた仮歯は捨てずに保管し、受診時にお持ちください。状態によっては再装着できる場合もあります。

よくあるご質問

インプラント治療の仮歯について、患者様からよくいただくご質問にお答えします。

Q. 仮歯期間中は普通に食事ができますか?

A. 柔らかいものであれば通常通りお食事いただけます。ただし、硬いものや粘着性のあるものは避け、できるだけ反対側の歯で噛むことをおすすめします。特に手術直後の1ヶ月間は、患部に負担をかけないよう注意してください。

Q. 仮歯が取れやすいのはなぜですか?

A. 仮歯は治療の進行に合わせて調整や着脱ができるよう、意図的に外れやすいように装着しています。また、インプラントの安定度や周辺組織の状態を確認するために定期的に外す必要があるため、強固に接着していないのです。

Q. 前歯の仮歯は見た目が気になりませんか?

A. 仮歯は周囲の天然歯に近い色合いと形状で作られますので、治療中であることはほとんどわかりません。どうぞご安心ください。

Q. 仮歯を入れてもらえない場合はありますか?

A. はい、あります。奥歯のインプラントで審美性の問題が少ない場合、骨造成手術を行った場合、2回法手術で治癒期間を優先する場合、患部の安静が必要な場合などは、仮歯を装着しないことがあります。仮歯を入れるかどうかは、患者様のお口の状態や治療計画によって判断いたしますので、事前に担当医とよくご相談ください。

まとめ

インプラント治療における仮歯は、治療を成功に導くための重要な役割を担っています。

仮歯には、審美性の維持、発音機能の維持、噛み合わせと歯並びの維持、患部の保護と細菌感染の予防、歯茎や顎の骨の状態を安定させるなど、多くの重要な役割があります。

ただし、奥歯のインプラントや骨造成手術を行った場合、2回法手術の場合など、仮歯を装着しないケースもあります。仮歯を入れるかどうかは、患者様一人ひとりのお口の状態や治療計画に基づいて判断いたします。

仮歯を装着した場合は、硬いものや粘着性のあるものを避け、優しく丁寧な歯磨きを心がけることが大切です。何かトラブルがあった場合は、放置せずすぐに歯科医院を受診してください。

当院では、患者様お一人おひとりの状態に合わせた最適なインプラント治療をご提案しております。インプラント治療について気になることやご不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。


杉並区やまむら歯科医院

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※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の患者様の状態によって治療内容や期間は異なります。詳しくは担当医にご相談ください。

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